※これはフィクションです。
南の国のとある町に、人材派遣会社がある。
そこは、いつも事務所の明かりが灯っている。
ブラックなのか。
いやそうではない。
むしろ逆だ。100点だ。
社員さん。
昼間はパワフルな青年社員と、優しいオールマイティーマダムが対応。
夜は聞き上手でヘビースモーカーで、声のイイ男性スタッフがいる。
社員は一緒に派遣先で働いていて、スタッフの気持ちをよく汲んでくれる。
そこは登録スタッフ用のフリースペースがある。
いつでも自由にきて、くつろいでいっていい。
お菓子やジュースも売っていて、漫画も置いてあり、好きにくつろいでいい。
だから自然とコミュニティができる。知り合いができる。
みんなに居場所があった。
いつでも、シゴトがあった。
24時間、365日シゴトがあった。
働きたいだけ、働くことができた。
稼ぎたいだけ、稼ぐことができた。
給料は、月給か週休か、日給か自由に選べる。
月給なら10割。週休なら9割。日給なら8割の支給となる。
スタッフは事情に応じて、支払い方法を選べる。
そして、きわめつけは語学が学べるということ。
接客業系の人材派遣。派遣先の店には外国人客も多かった。
だから、ここの登録スタッフは、接客のための外国語を無料で学べた。
そこは他に類を見ない、人を大切にし、人を育てる派遣会社だった。
今日も、事務所から外国語の先生の歌声が聞こえる。
また1人の女性が、希望を求めて、その事務所の階段を登っていく。
※これはフィクションです。
豊嶋航平